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ストレスの影響と心身のケア


 第1節.

ストレスが生み出す心身の悪循環とその影響


ストレスの主な原因として挙げられるのは、仕事関係(特に上司との関係)や家族関係(夫・妻・子供・両親)です。日常生活での疲れが積み重なり、ストレスが心身に大きな負荷をかけると、神経が過度に緊張し、交感神経系が過剰に働くようになります。その結果、心臓の鼓動が速くなり、呼吸が浅く速くなるといった身体反応が引き起こされます。

 

このようなストレスと緊張が長期にわたって続くと、筋肉が硬直し、頭痛、肩こり、息苦しさ、めまい、立ちくらみ、吐き気、消化不良など、様々な身体症状が現れます。さらに、血液の循環が悪化し、身体の痛みや不調が悪化することで、外部の刺激に過敏になり、痛みやイライラが増大します。思考がネガティブなループに陥り、過去の嫌な記憶を繰り返し思い出したり、将来の不安に苛まれたり、不眠や食欲不振が続くと、心の余裕がなくなり、うつや耳鳴り、難聴、現実逃避などの症状が現れることもあります。

 

長期間にわたりストレスが蓄積されると、心身共に疲弊し、無表情・無感情となり、ネガティブなことにばかり注意が向いてしまいます。こうした状況では、ストレスホルモンが過剰に分泌され、過緊張状態が続くことで、免疫システムが弱まり、体内や皮膚に炎症が生じやすくなります。これにより、アレルギー症状や胃腸の不調、粘膜の弱体化といった身体的問題が頻発します。

 

防御姿勢を取り続けることで、アゴに力が入り、奥歯を噛み締める癖がつき、首や肩が凝り固まり、片頭痛が生じます。特に女性の場合、ストレスが強いと生理痛が酷くなることがあります。鼻炎や喉の炎症、肺が凍りつくような感覚により呼吸が困難になり、免疫力が低下することで、風邪や口内炎が頻繁に起こることもあります。さらに、胃腸の問題がある人は、胃のムカつきや痛み、過敏性腸症候群を患うことが多く、皮膚に問題がある人は、アトピーや蕁麻疹、ニキビなどで肌が荒れやすくなります。

 

ストレスが慢性化すると、身体が力を失い、あるいはガチガチに緊張し、副腎に負担がかかり、全身の疲労感や怠さ、慢性疲労や慢性疼痛が現れます。体調不良が続くとネガティブな気分が強まり、頭の中が混乱し、甘いものを無性に欲するようになります。神経が張りつめると、人混みに対して過敏になり、非常に疲労し、イライラが募り、人混みが苦痛に感じられるようになります。また、ストレスが極度に強くなると食欲が失せ、味覚が鈍くなります。解離反応が現れると、身体が麻痺し、心が空虚になり、時間・空間の感覚が乱れ、急な眠気、別人格化、自責感、無力感、希死念慮が生じることもあります。

 第2節.

ストレスと過緊張による心身の二大反応:凍りつき型と生ける屍型


日常生活でのストレスが蓄積すると、心身が過度の緊張状態に陥り、人は次第に二つの反応パターンに分かれていきます。一つは「凍りつき型」、もう一つは「生ける屍型」です。これらの状態は、ストレスに対する身体の反応によって引き起こされ、それぞれ異なる特徴を持っています。

 

まず、「凍りつき型」は、一般的に多く見られる反応です。この型では、ストレスや緊張が高まると、筋肉が縮こまり、神経が張りつめた状態になります。これは、身体が自己防衛のために起こす反応であり、凍りつきの迷走神経反射によって、様々な精神症状が引き起こされます。また、交感神経が過剰に働き続けるため、リラックスすることができず、身体感覚が麻痺してしまうことがあります。最終的には、身体が打ちのめされた状態に陥り、手足に力が入らなくなり、「生ける屍型」へと移行することもあります。

凍りつき型の特徴

  • 交感神経と背側迷走神経が過剰に働く:常に緊張しており、身体は戦闘モードのような状態。
  • 筋肉が縮こまり、ガチガチに固まる:首や肩の筋肉が特に緊張しやすい。
  • 気の流れが悪く、血流が滞りがち:この結果、手足が冷たくなり、関節や体の節々に痛みを感じることが多い。
  • 過敏になり、体調を崩しやすい:周囲の刺激に対して敏感になり、精神的にも肉体的にもダメージを受けやすい。
  • 「しなければならない」「すべき」といった思考にとらわれる:これにより、さらに自分を追い込んでしまう。

生ける屍型の特徴

  • 交感神経の働きがシャットダウン:ストレスに対して身体が反応しなくなり、極度の無気力状態に陥る。
  • 手足に力が入らない:身体のエネルギーが低下し、動くことさえ困難になる。
  • 浮腫みが出てくる:血流がさらに悪化し、体内の水分バランスが崩れる。
  • 筋肉が伸び切ってしまい、身体を動かすのが大変:筋肉が弛緩しすぎて、身体の動きが制限される。
  • イメージが浮かばず、思考がまとまらない:精神的なエネルギーが低下し、物事を考える力が著しく低下する。
  • 無気力で心がなくなる:自分が自分でなくなったような感覚に陥り、生きる意欲を失ってしまう。

これらの反応は、身体と心が限界を超えたときに現れるものであり、放置しておくとさらなる悪化を招く可能性があります。自分が「凍りつき型」や「生ける屍型」に当てはまると感じたら、早期に対処し、ストレスを和らげる手段を講じることが重要です。

 第3節.

ストレスを遠ざけるための生活習慣と心身のケア


ストレスを軽減し、心地よい生活を送るためには、まず生活習慣を見直し、環境を改善することが重要です。日常の中で思い切った行動を取り、不快な状況を避け、心地良い環境を積極的に作り出していくことが求められます。

マインドフルネスと自己防御の見直し

マインドフルネスのスキルを磨くことで、自分が無意識に取っている防御的な姿勢や攻撃的な態度に気づきやすくなります。これらの気づきを通じて、体の力を抜き、内側から安心感や安全感を感じられるようになることが大切です。心と体を調和させることで、ストレスに対する反応が穏やかになり、よりリラックスした状態を保てるようになります。

身体のメンテナンスとストレス緩和

次に、身体を定期的にメンテナンスすることが必要です。ストレス緩和の方法として、科学的に証明されているのが運動と瞑想です。ヨガ、ダンス、ストレッチ、マッサージ、武術など、楽しみながらできる運動を取り入れることで、体のこわばりが解け、気持ちがスッキリし、神経の働きが穏やかになります。また、ゆっくりと自分の時間を過ごしたり、気晴らしをしたり、十分な休息を取ることも重要です。

ただし、仕事関連のストレスが大きい場合、その解消法が単に「会社に行かない」という現実逃避的なものでは意味がありません。日々の生活の中で、少しずつでもストレスを和らげる工夫が必要です。

健康的な生活習慣の見直し

普段の食生活もストレス管理において重要です。できるだけ体に良いものを摂取し、質の良い睡眠を取ることが求められます。例えば、甘いジュースやコーヒー、紅茶の代わりに、水やハーブティーを選びましょう。寝る前には、温かいお風呂に入り、お白湯を飲んで気持ちを落ち着かせると良いでしょう。自分に合った漢方を取り入れるのも一つの方法です。

心理療法とストレス対策

心理療法の技法として、呼吸法、筋弛緩法、自律訓練法などが効果的です。これらの方法を通じて、過緊張や凍りついた体をほぐし、呼吸数や心拍数、血圧、体温などの生理的状態を正常化させることで、心も次第に落ち着いていきます。日常生活で落ち着かないと感じたときには、じっとしているよりも体を動かし、姿勢を変えてみることで心身の状態を改善できます。

ストレスの捉え方と心身の反応

最後に、ストレスの受け取り方によって、体の症状が変わってくることを理解することが重要です。ストレスから逃げるのではなく、それに向き合い、自分で納得できる答えを見つけ、問題解決に向けた行動を取ることが大切です。ポジティブに物事を捉えるようになると、体の症状も次第に消え、安心感が得られるようになります。心理療法を通じて、ストレスに対する捉え方を見直すことは、心身の健康に大きな効果をもたらします。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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日常のセルフケア

心の病を回復させるためには、カウンセリングを受けて悩みに向き合う、精神科に通って薬を摂取するのみではなく、自分の普段の生活の中で、食事やエクササイズ、睡眠等の全体に意識的に注意して自身を高めることで心の病が回復します。

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身体のメカニズム

人間は、リラックスしている時に、体が伸びていく拡張と、緊張している時に、体が縮んでいく収縮があります。トラウマを負った人は、そのショックのせいで極限まで縮んだところで、ロックされて動けなくなる状態に固着することがあります。

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より良く生きるには

人が困難に直面したときに、ネガティブな考えを引きずり、不安から動けなくなってしまう人がいますが、そこから立ち直って人生を前向きに進めていくためには、そのような辛い経験に向き合って乗り越えていくことが大切です。