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トラウマ解放エクササイズ


子どもの頃からトラウマを抱えている人は、心と体に深い隔たりを感じることが多くなります。心や体が危険に晒されると、人は無意識に自らを守るため、筋肉を収縮させます。しかし、この状態が慢性化し、体が常に「闘争・逃走・凍りつき・擬死」のモードに染まると、ストレスホルモンが絶えず分泌され、心身が疲弊してしまいます。その結果、エネルギーが枯渇し、簡単な仕事でもミスを重ね、「やる気がない」と誤解されることもあります。

 

ストレスが蓄積されると、睡眠障害や慢性的な疲労が日常に影響し、生活全般が困難になり、現実感も薄れていきます。また、周囲に迷惑をかけたくないという思いから無理を続けることで、体や脳が炎症を起こし、原因不明の身体症状や慢性疾患に罹りやすくなります。トラウマが引き起こすこの連鎖反応は、心と体の健康に深刻な影響を及ぼすのです。

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内なる感覚を見つめて: 呼吸と意識がもたらすリラックスの力


まずは、身体を動かさずにじっとし、深い呼吸を心がけます。鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹が膨らむのを感じながら、吐く息もゆっくりお腹から出していきます。目を閉じ、安心できるイメージを思い浮かべながら、自分の内側に意識を向けます。呼吸に集中するか、身体の内なる宇宙を見て回るような感覚で、リラックスして過ごすことが大切です。

 

生理的な反応に気づいたら、その場所に意識を集中させ、じっくりと変化を感じ取ります。意識の力が、身体を自然に回復させることを理解し、痛みや緊張があるときは、その部分をフラットな意識で観察します。そうすることで、身体が本来の自分の状態に戻る助けとなります。

 

特に、意識を向ける場所として有効なのは、脳や顔、喉のあたりです。これらの部位を繋ぐ神経や筋肉に注意を向けると、今まで感じなかった身体の感覚に気づくことができるかもしれません。そして、その感覚の変化を追っていくことで、最終的には身体が温かく、リラックスした状態へと導かれます。このプロセスを通じて、心と体が調和し、自分本来の姿を取り戻す手助けになります。

心と体を繋げるためのセラピー:離人症の克服へ


離人症とは、心と体が切り離された感覚に陥る状態です。痛みやトラウマによって体が凍りつき、日常生活が頭の中だけで進行してしまうことがあります。この心と体の分離を解消するためには、体に意識を向け、心と体を一致させることが重要です。瞑想やストレッチ、運動、振動を伝える器具などを用い、体に再び感覚を取り戻していくことが有効です。

 

例えば、凍りついた肩を動かしたり、手の感覚をじっくり味わったりすることで、徐々に体の感覚を蘇らせることができます。物に触れて指の感覚を意識する、足をしっかりと地に着けて地面の感触を感じるなど、小さな動きから始めると効果的です。足の場合は、足首や指を動かし、正座でじんじんする感覚に注意を向けることで、神経が目覚めていくのがわかります。さらに、赤ん坊や動物を抱きしめるイメージや、実際に人形を抱いて自分の反応を観察することも有効な手段です。

 

こうしたセラピーを続けていくことで、足がフワフワしたような感覚が次第に消え、地に足がついている実感を取り戻します。離人感に苦しむ人にとって、これらのプロセスを通じて生き生きとした感覚を再び感じられるようになるでしょう。

 

また、自分の身体にフラットな意識を向けることが怖い場合、安心できる記憶や望ましいイメージを頭の中で思い浮かべることで、神経がリラックスし、身体が温かくなり始めます。幸せなイメージを膨らませることによって、離人感は和らぎ、体と心が再び結びつき、強さと温かさが戻ってくるのです。このプロセスを経て、心と体が一つに繋がることで、離人感が解消され、より生き生きとした日常が取り戻されるでしょう。

離人症の回復への道:心と体を繋ぐセラピーの実践


離人症は、自分の身体が自分でないように感じる、または自己感覚が希薄になる症状です。この状態にあるとき、理性を司る大脳新皮質に対して、体の感覚を伝える「島」という脳の部分が十分に活性化していません。そのため、自己との繋がりが失われ、身体感覚が乏しくなるのです。

 

この症状の回復には、マインドフルネス瞑想、ソマティックエクスペリエンス、アクセプタンス&コミットメントセラピーなどの手法を組み合わせることが効果的です。これらのアプローチを用い、体の内なる感覚に注意を向けることで、自己との繋がりを再構築します。

 

まず、心地良い時の身体の感覚に集中し、自分の体との繋がりを感じる練習をします。同時に、不快感や焦り、苦しい時の身体の感覚にも注意を向け、その状態と向き合い、受け入れることが大切です。不快な感覚を受け入れ、それを超えた後に訪れる解放感を体験することで、離人症の症状が和らいでいきます。

 

このプロセスを繰り返すことで、不快な感覚や麻痺状態に陥ることへの恐怖が和らぎ、心と体の統合が進みます。心地良さと不快感の両方を受け入れ、身体との繋がりを取り戻すことが、離人症の回復に繋がるのです。

内なる緊張を解きほぐし、自己調整力を高める


内なる感覚に意識を向けることで、身体の緊張や防衛的態度に気づくことができます。それが分かれば、徐々にその緊張や敵意を解きほぐし、自信を持って外の世界と繋がることができるようになります。身体の観察とリラクセーションの手法を学ぶことで、自己調整能力が向上し、さまざまな場面で応用が利くようになります。内なる声を聞き、自分を客観的に見る力が育つと、外の世界への見方も変わり、心に余裕が生まれます。

 

その結果、個としての自分も強くなり、過去に苦しんだ出来事も今では受け流すことができるように成長します。悲しみや苦しみを能動的に受け入れることで、自己コントロール力や集中力が高まり、日々の勉強や仕事により効果的に取り組めるようになります。一呼吸置いて人と関わる力も身につき、トラウマから立ち上がった先には、多面的な個性や創造性が花開くのです。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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