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心理療法とは?セラピーのやり方


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 第1節.

心身へのアプローチ


心理療法は、心を対象とした治療法であり、対話を通じて心の健康を回復させるプロセスです。心理療法には多くの種類が存在し、それぞれが異なる理論やアプローチを基にしています。主な心理療法には、精神分析、認知行動療法、来談者中心療法、集団精神療法、家族療法、芸術療法、箱庭療法、遊戯療法、ナラティブセラピー、マインドフルネス、臨床動作法などがあります。これらの治療法は、それぞれ異なる視点から心を理解しようとしますが、すべてが万能ではなく、効果も一長一短であることが知られています。

 

1.当カウンセリングルームのアプローチ

当カウンセリングルームでは、精神分析に基づいた人間理解を大切にしつつ、従来の精神分析では見落とされてきた重要な側面にも焦点を当てています。特に、トラウマや解離、身体性、そしてスピリチュアリティといった要素が、個人の心の健康にどのように影響しているかを考慮し、支援を行います。

 

また、私たちは人間の内面だけでなく、外部の社会環境がどのように影響しているのかも重視します。個人の心の問題だけでなく、社会の構造や文化がトラウマや心の問題を引き起こしていることも理解し、その現実に対処していきます。

 

2.心と社会を統合した心理支援の重要性

心の治療は、個々の問題を深く探るだけでなく、社会全体の影響や人間関係、スピリチュアリティといった幅広い視点からアプローチすることが必要です。これにより、クライエントは自分の人生だけでなく、社会全体の豊かさや過酷さに対しても新たな視点を持つことができ、より深い癒しと成長を促進します。

 

3.トラウマが引き起こす無感覚のメカニズム

幼少期からトラウマを負っている人は、脳の自己知覚に関連する領域の活性が低下していることがよくあります。痛みや恐怖を長期間にわたり切り離してきた結果、身体を感じる力が弱まり、無感覚・無感情の状態に陥ることがあります。大人になった今でも、彼らは何も感じることができず、感情が湧き上がらない状況に苦しむことがあります。

 

4.通常の心理療法の限界と身体へのアプローチの重要性

このような状態の人に対して、通常の対話を通じた心理療法では、心に響かず、身体にも変化が起きにくいことが多いです。言葉だけでは感情を動かすことが難しく、表面的な対話が続いてしまう可能性があります。しかし、慢性化したトラウマに対応するためには、心だけでなく身体にも働きかけるアプローチが非常に効果的です。

 

5.身体を通じたアプローチで心に触れる

身体に焦点を当てた治療法を取り入れることで、心と身体の反応が徐々に活性化し始めます。長年抑え込まれていた感情や記憶が解放され、涙が自然に溢れることもあります。こうしたプロセスを通じて、感情の温もりが戻り、再び自分自身と深く繋がる感覚を取り戻すことができます。

 

トラウマにより失われた自己感覚を回復し、心と身体が一体となることで、より健全で充実した人生を歩むための一歩を踏み出すことができるのです。

 第2節.

心の領域:見えない世界を探求する


心は目に見えず、捉えどころがないものです。実体はなく、私たちが感じるものや考えることを支える、無形の存在です。しかし、心は単なる抽象的なものではなく、脳内の複雑な神経ネットワークによって形成されています。身体との関わりを通して、心は育まれ、成長していくのです。

 

1.心の構造とその役割

心は「身体性」と「精神性」という2つの要素の間に存在します。身体性は本能、情動、感覚に関するもので、私たちの感情や直感を司ります。一方、精神性は理性、思考、言語に関連し、私たちの分析的な思考や論理的な判断を支えます。心は、この2つの領域のバランスを取りながら、私たちの感覚や思考、感情を統合し、現実と向き合うための支えとなります。

 

2.心の中の時間と空間

心の中には、現実の時間や空間に似たものが存在します。私たちが物思いにふけったり、何かを感じたりする瞬間は、心の中の世界で時間が流れています。イメージを膨らませたり、夢を見たり、アイデアが浮かぶ瞬間も、心の中の広がりの一部です。こうした内的な世界は、私たちが感じ、考え、創造するための場となります。

 

3.精神分析と心の探求

精神分析は、この見えない心の世界を探求し、心の中で起こるプロセスを構造化する学問です。心の内部を理解することで、人間の性質や行動の根本を明らかにし、治療の手がかりとなります。心の複雑な仕組みを知ることで、私たちはより深く自己を理解し、豊かな内的世界を生きることができるのです。

 

この探求を通じて、心の奥に隠された感情や思考を理解し、内的な成長を促すことが、私たちの人生において重要な意味を持つのです。

 第3節.

心と身体の統合を目指す精神分析的アプローチ


精神分析的療法では、セラピストはあなたの内面と向き合い、深い共感を持って気持ちに寄り添います。あなたの痛みを受け入れながら、セラピストは一緒に考え、関係を築き、心を癒すための共同作業を行います。プライバシーには十分な配慮をし、安心して過去のつらい出来事を話せる環境を提供します。しかし、過去のトラウマを語ることは大変なエネルギーを要します。

 

通常、セラピストはクライエントが自分の悩みを振り返り、自己理解を深める手助けをしますが、特に早期のトラウマを抱えた方にとっては、自分自身の問題に向き合うことが非常に困難な場合があります。このような場合、セラピストはただ過去に焦点を当てるのではなく、社会や外的な環境がどのようにトラウマを引き起こし、それに心と身体がどのように反応してきたかを慎重に探ります。

 

1.精神分析アプローチのやり方

精神分析アプローチは、クライエントの無意識に潜む感情や思考、欲望に焦点を当て、それを表に出していく治療法です。この方法は、長い時間をかけてクライエントが自分自身を深く理解し、隠された感情や記憶を探っていくことを目指します。

 

セラピストは、クライエントが自由に話せるようにサポートしながら、会話の中で浮かび上がってくる無意識のサインを丁寧に読み解きます。このプロセスを通じて、過去の経験や抑圧された感情が現在の悩みにどのように影響しているのかを見つめ直していきます。

 

このアプローチでは、クライエントとセラピストとの信頼関係が非常に重要です。セラピストは、非判断的な態度でクライエントを受け入れ、じっくりと対話を進めながら、その人が持つ無意識の葛藤や防衛機制に気づけるようにサポートします。

 

精神分析のセッションは、通常週に数回行われ、時間をかけて徐々に深層にアプローチします。治療の過程で、自分自身を新たな視点から理解することができ、現在の問題に対してより効果的に対処できる力を養うことが目指されます。

 

2.トラウマケアのやり方

当カウンセリングルームの特徴は、トラウマ的な出来事や外傷的な状況が、心と身体にどのような影響を与えるかを細かく観察し、そのプロセスを深く理解することにあります。私たちは、クライエントが経験した社会的な圧力や外的な影響を重視し、それらに対する心や身体の応答を分解しながら、内的な統合を目指す治療を進めます。

 

トラウマケアの視点を取り入れることで、私たちは単に心の問題を言葉で解決するだけでなく、身体がトラウマにどのように反応しているかに注目します。トラウマを抱える人々は、しばしば感情や記憶を無意識に抑圧し、身体に痛みや緊張として現れることがあります。そうした身体的反応に気づき、それを解放するためのアプローチが重要です。

 

セラピストは、心と身体がどのように分裂し、自己を守るためにどのような防衛機制が働いているのかを一緒に見つめていきます。これにより、徐々にトラウマの影響を解きほぐし、過去の傷から解放されるプロセスが始まります。クライエントは、自己防衛のために無意識に築いてきた壁を少しずつ取り払い、新たな自己理解を築いていくことができるのです。

 

このアプローチは、単に症状を軽減するだけでなく、深いレベルで自己肯定感を取り戻し、心身の統合を目指すための長期的な回復の基盤を築きます。トラウマケアを通じて、クライエントは自分自身とのつながりを回復し、より健全で充実した人生を歩むための力を育てることができます。

 第4節.

精神分析の探求:真実と美を求める旅


精神分析には、私たちの心の奥深くにある真実を探し出す側面があります。しかし、この真実を見つめることは、しばしば苦痛を伴います。自分が見たくないものや避けたい感情に向き合うことは、とても辛いものです。さらに、真実というものは終わりがないものであり、もしかしたら初めから存在しないのかもしれません。それでも、自分自身と向き合うことには大きな意義があります。

 

日常生活の多くは、脳が無意識に状況を予測し、その繰り返しで成り立っています。無意識に行動することが多い私たちは、時に同じ過ちを何度も繰り返してしまいます。しかし、精神分析の過程を通じて、無意識の行動を意識的に認識することで、私たちは自分の行動を変えることができるのです。

 

このプロセスは、自分の体の感覚や緊張に気づくマインドフルネスとともに進みます。こうして自分を深く見つめ、苦しみを乗り越えたその先には、明るい未来が待っているかもしれません。

 

精神分析は真実の探求だけでなく、美を求める側面も持っています。鏡に映る自分の姿を見たとき、そこには隠された深い闇があるかもしれません。その闇に落ちることで、その深さを理解し、そこから救いが見出されることもあります。

 第5節.

不幸を受け入れ、光を見出す生き方


人生には、喪失や老い、不条理、不平等といった不幸が必ずついてきます。しかし、それを普通のこととして受け入れることができれば、日々の生活を楽しく感じることができるでしょう。一方で、どんなに苦しい状況にあっても、わずか1%の希望や光を信じ、自分の夢を追い求めながら前向きに生きる道もあります。どちらの生き方も、その人に合った方法で、人生を肯定的に捉える姿勢が大切です。

 

生き方は人それぞれであり、他者と比べる必要はありません。大切なのは、どのような困難に直面しても、自分の中で希望や喜びを見つける力です。自分の人生を受け入れ、未来への小さな光を信じながら生きることが、充実した人生への第一歩です。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

 

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