> > 快楽主義的性格

快楽主義的性格


快楽主義的な人格とは何か

 

快楽主義的な人格とは、人生において最も重要なことが自身の欲求を満たすことに集中している状態を指します。こうした人々は、長期的な目標や計画を立てて努力するよりも、目の前の快楽を追求することに関心が向いています。快楽を得る手段はさまざまで、食事や飲酒、買い物、異性との身体的な関わり、ギャンブルなどがあります。これらの行動は、彼らにとって楽しみを感じるための手段であり、欲求を満たすことが人生の中心になっているのです。

 

1. 快楽主義者の特徴とその背景

 

快楽主義に走る人々の多くは、親との関係が破綻しており、幼少期に頼りにすべき大人から裏切られた経験を持っています。こうした背景から、人間不信が強く、他者との関係において心を閉ざしがちです。彼らは人が大勢いる場所で体が凍りついたように感じたり、感覚が麻痺してしまったりすることがあり、心がズタズタに壊れているかのように感じることもあります。

 

もともとは愛想の良い子どもだった彼らも、他人に不当に利用されたり、巻き込まれたりすることで疲弊し、次第に何も感じなくなってしまいます。人生がうまくいかなくなると、親からの愛情や安心感を求めることを諦め、目標を見失い、ただ退屈しのぎに生きるようになります。このように、快楽主義者は人間関係において投げやりな態度を取ることがあり、他人の注目を集めたり、刺激を求めて自分を元気にするためなら、手段を選ばず行動します。

 

2. 現実逃避と快楽主義

 

快楽主義者の多くは、幼少期から辛い経験が多すぎたために、周囲を警戒しながら生きるようになりました。彼らは空想や妄想にふけり、現実の辛さを忘れようとします。そのため、何かに縛られたり、監視されたりすることを嫌い、単調な繰り返しや意味のないことを避ける傾向があります。また、善悪の判断が曖昧であり、慈悲や思いやりが欠けているため、抜け殻のような状態に陥ることもあります。

 

快楽主義者は、自分が気持ち良いと感じることをすることで落ち着きを取り戻しますが、不快な状況に直面すると、トラウマ反応が現れ、落ち着かなくなり、不安や恐怖、怒り、恥に苛まれます。このような状態が続くと、体が固まり、解離や離人感を感じ、自分が自分でないように感じたり、生きながらにして死んだような感覚が付きまといます。こうした感覚を避けるために、快楽主義者は自分がやりたいことを強く追い求めます。

 

快楽主義者の行動パターン

 

1. 快楽を求める理由

 

快楽主義者は、落ち着かなくなり、イライラする状況に耐えられず、快楽を得るためなら手段を選ばず行動します。彼らは、心地良くなることだけを選び、心地悪くなることは一切避けるため、他人からはわがままと見なされがちです。自分が好きなことをしているときは調子が良いものの、苦手なことや興味のないことには関心が続かず、すぐに飽きてしまいます。言いたいことが言えない、やりたいことができない環境に置かれると、ストレスが非常に高まり、その状況から逃れるために快楽を求める行動がさらに強まります。

 

不快なことに直面すると、不安や焦り、苛立ちが募り、場合によっては頭痛や下痢、嘔吐、発作といった身体的症状が現れます。こうした不快な状況を避けるために、快楽主義者は異性との身体的な関係や、チヤホヤされることによる承認欲求の満足、さらには簡単にお金を稼ぐ手段を選ぶことがあります。性的な快楽を求めて複数の異性と関係を持ったり、経済的な利益を得るために他者を利用することも辞さない傾向があります。特に女性の場合、派手で見た目が良いことで異性からの注目を集め、それが快感となって行動をエスカレートさせることがあります。

 

2. 快楽主義者の人間関係と自己中心性

 

快楽主義者は、自分が優位に立ち、自分の好きなことをしているときは比較的人間らしく過ごせますが、思い通りにいかないとイライラしたり、落ち込んだりします。彼らは、自分の利益や欲求を優先し、人を不幸にすることに対して無頓着で、自分が良ければそれでいいという身勝手な考えに支配されます。そのため、人から嫌なことを押し付けられると身体が収縮し、動悸や息苦しさ、胸の痛み、気持ち悪さなどを感じるため、常に快楽を求めて自分を楽な状態に保とうとします。

 

快楽主義者は、他者を思いやることや愛することよりも、自分の好きなことを追求する人生を送ります。相手に対して過剰な期待を抱き、その期待が叶わないと苦しさを感じます。普段から何かに追い立てられるような感覚や、差し迫る危機感の中に生きている彼らは、自分で自分をコントロールできなくなることを恐れ、何でも自分の思い通りにしようとします。

 

3. 人生の虚しさと快楽の追求

 

快楽主義者は、一定の場所にじっとしていることができず、家の中で落ち着いて過ごすことが苦手です。イライラが募り、外で遊んだり、他者からの注目を集めたりすることで、自分の存在価値を見出そうとします。彼らは漠然とした不安を抱えながら、生きるか死ぬかのモードで生活しており、ちょっとしたことでも体が反応し、脅かされているように感じます。過去のトラウマが原因で、彼らは安心感を持てず、常に何かに夢中になることで不安を忘れようとします。

 

こうした複雑なトラウマを抱える人々は、穏やかで安心できる暮らしを手に入れることが難しく、時に安易に快楽を求める人生を選ぶことがあります。一人でいると自分の空虚さと向き合うことになり、虚しさや寂しさを感じるため、外部の刺激を求め続けるのです。

 

快楽主義者は、楽しいことがあると元気になりますが、嫌なことがあるとすぐに落ち込み、身体が鉛のように重くなります。他者との関係よりも、自分の興味や好奇心に突き動かされて生きるため、人生は暇つぶしの手段となりがちです。体の中のモヤモヤや心の寂しさを埋めるために、彼らは自分の欲望を満たすことにのみ集中し、本当の自分と向き合うことができなくなります。

 

快楽主義的な人格の根底にあるもの

 

快楽主義的な性格の根底には、この人生に対する強い失望感や、空虚さがあります。彼らは自分が本来望んでいた人生を歩むことができず、中身が空っぽになってしまっています。世の中に対する不信感が強く、常に警戒心を抱えて生きており、心の底から安心することができません。このため、他者を本当に愛することが難しくなり、愛情を求めることさえ諦めてしまうことがあります。快楽主義者が相手に求めるものは、空虚な自分を埋めてくれる何かであり、それが自分を元気づけてくれることを期待しています。

 

1. 快楽主義者の人間関係の行き詰まり

 

快楽主義者は、自分の欲求や感情に振り回されるため、他者の気持ちや立場を考える余裕がほとんどありません。彼らは自己中心的に他者と関わり、自分の利益を優先させることで、結果的に他者を傷つけることも多いです。こうした行動が続くと、最終的には本当に自分を大切にしてくれる人が周りからいなくなり、孤独に陥ることになります。

 

また、彼らは自分の心身に安心感がないため、静止していると何かが差し迫ってくるような不安に襲われます。その場で自分を元気にしてくれる手段があれば、それに飛びついてしまいがちです。しかし、これらの行動は一時的な解決に過ぎず、根本的な問題は解決されません。

 

2. 快楽主義的な性格の克服

 

快楽主義者がこのサイクルから抜け出すためには、まず自分自身を理解し、内面にある空虚さや不安に向き合うことが必要です。彼らは過去のトラウマや痛みによって形成された防衛反応として快楽を求めているため、これらの根本原因に取り組むことが不可欠です。

 

そのためには、適切な治療やカウンセリングを受けることが有効です。専門家のサポートを受けながら、自分自身を見つめ直し、自己理解を深めることで、自己中心的な行動パターンを変えていくことができます。さらに、他者との関係においても、相手の気持ちを尊重し、共感する力を養うことが重要です。

 

3. 快楽主義からの脱却と健全な生き方へ

 

快楽主義者が本当の意味で充実した人生を送るためには、瞬間的な快楽に頼るのではなく、長期的な目標や価値を見出すことが大切です。彼らは、過去のトラウマに向き合い、それを乗り越えることで、自己成長を遂げることができます。そして、他者との健全な関係を築くことで、自分自身の価値を見出し、真の意味での幸福を感じることができるようになるのです。

 

快楽主義的な生き方は、一時的な満足感をもたらすかもしれませんが、長期的には空虚さと孤独をもたらします。自分の欲望や不安に向き合い、健全な価値観を育むことで、快楽主義から脱却し、より豊かな人生を歩むことができるのです。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2020-06-19

論考 井上陽平

 

▶HOME ▶ネット予約 ▶電話カウンセリング 

STORES 予約 から予約する

<img src="../images/sample.jpg" alt="" />

自己愛性人格障害の末路

自己愛性人格障害の人は、生まれ持った資質の弱さや発達のアンバランスさ、不幸な生い立ちの自分を恥じています。子どもの頃の親子関係から生じたトラウマ体験により、「私は人間であるという体験」の欠如した人や、不条理な学校社会の有り様への不平、不満を持つ人が、自分の存在の虚しさを晴らそうとします。

<img src="../images/sample.jpg" alt="" />

トラウマ・PTSD研究

トラウマというのは、心に傷を与えるだけではありません。トラウマを負うメカニズムは、生きるか死ぬかといった自分を脅かす恐怖に曝され、戦うか逃げるか反応が失敗に終わり、自分の思うように動けなくなり、どうしようもできない絶望のなかで、もの凄いストレスを感じる不動状態の時に、トラウマになります。