> > 女性のアスペルガー症候群

女性のアスペルガー症候群の特徴とチェックポイン


アスペルガー症候群の女性は、トラウマがない場合、優れた長期記憶力や高い集中力を活かし、自分の強みを生かした仕事をしている限り、特に社会適応の問題を抱えることは少ないです。しかし、自分の弱みを克服しながら働かなければならない職場や、女性が働きにくい環境にいる場合、不適応を引き起こしやすくなり、パニックや睡眠障害、対人恐怖、原因不明の身体症状に悩まされることがあります。

 

特にアスペルガー症候群を持つ女性が児童虐待やいじめ、不運な出来事などのトラウマを経験している場合、神経が過剰に敏感になり、感覚過敏やパニック発作、フラッシュバック、悪夢といった症状が現れ、日常生活が非常に困難になることがあります。このような状況では、家庭や学校、職場など、本人を取り巻くすべての生活空間がストレスの源となり、長期的な不安や緊張状態が続くと、心身にさまざまな症状が現れる可能性が高くなります。

 

アスペルガー症候群の人は、神経系の発達や生体機能のリズムに異常が見られることが多く、不快なことが続くと、原因不明の体調不良に陥りやすいです。こうした環境で過ごすうちに、どこにいてもくつろげず、危険や不快感が増すと、身体が限界を迎え、頭が混乱し、さまざまなことに耐えられなくなります。特に女性の場合、小学校の頃から原因不明の体調不良として症状が現れ、対人関係の問題や不登校といった形で表面化することが多いです。

STORES 予約 から予約する

アスペルガーかつ複合的なトラウマを負うと


女性のアスペルガー症候群の方は、相手に合わせようと努力し、「良い子」として振る舞うため、表面上はコミュニケーション能力に問題がないように見えることがあります。しかし、彼女たちは言葉をそのまま受け取る傾向が強いため、通常の会話のやり取りが難しくなり、対人関係での相互作用にストレスを感じやすいです。また、神経発達の問題により感覚過敏があり、生きづらさを感じる場面も多いです。

 

学校生活では、他の子どもと比べて作動記憶や処理速度に大きな得意・不得意の差があることが多く、作業に時間がかかるタイプの子もいます。日常生活においては、規則性を発見することが好きで、自分が他者とは違うと感じることが多いため、無理に相手に合わせたり、目立たないように自分を抑えたりすることがあります。

 

さらに、機能不全家庭で育つと、長期的なストレスを受けることで、慢性疲労症候群や線維筋痛症、概日リズム睡眠障害、摂食障害、原因不明の身体症状などを抱えることが少なくありません。このような状況では、日々の生活が大きな負担となり、心身にさまざまな影響が現れる可能性があります。

 

通常の人と比べて脳機能のバランスが崩れている場合、トラウマの影響で感覚処理が異常になりやすく、解離症状やフラッシュバックに陥りやすいことがあります。また、情報処理に問題があるため、外の世界のあいまいさや複雑さに対処するのが難しく、すぐに焦りがちです。どうすればよいか分からなくなると、身体にそのストレスが現れ、パニック症状が引き起こされることがあります。

 

さらに、パニックや感覚の麻痺、原因不明の身体症状(疼痛、頭痛、めまい、吐き気など)に対する恐れが強くなると、これらを引き起こす可能性のある刺激(光景、音、匂い、光、電波、人の気配、話す内容など)に対しても不安や恐怖を感じるようになります。その結果、身体がこわばり、日常生活が困難になることがあります。

 

身体が凍りつき、心の繋がりが失われると、まるで血が通っていないかのような感覚に陥り、頭の中で考えることに集中しがちになります。このような状態では、健常者のように体の感覚をうまく使うことが難しくなり、身体の違和感や苦痛が多くなることで、動作がぎこちなくなり、独特なコミュニケーションパターンを形成することもあります。

 

アスペルガー傾向のある人は、過去の記憶を鮮明に覚えており、こだわりが強く、柔軟な対応が難しいため、非常に生真面目な性格を持っています。彼らは一度何かを「悪いもの」と認識すると、その考えを変えることが難しくなり、身体の不調を引き起こす要因を次々と見つけてしまいます。現実の脅威だけでなく、想像上の脅威にも過剰に反応する傾向があり、目に見えない敵への不安や恐怖にとらわれがちです。

 

たとえば、特定の音に対して極度に敏感で苦痛を感じたり、ネガティブな情報が頭から離れなかったり、強い光を苦手に感じたり、肌に触れるものや匂いに過敏に反応して身体の調子が悪くなったりすることがあります。こうしたあらゆる刺激が不快なものとして認識され、日常生活が困難になります。

 

しかし、周囲がアスペルガー症候群であることを理解し、適切な配慮をしてくれる場合、本人が感じるストレスは大幅に軽減され、身体の調子も徐々に改善していきます。一方で、周囲の理解が得られず、助けが必要な時にも無視されたりすると、それが新たなトラウマとなり、ストレスが増幅されます。特に、パートナーがトラウマの原因となる場合、ストレスがさらに増し、症状が悪化して、一緒にいることが難しくなり、逃げ出したくなることもあります。

 

また、病院を訪れても異常が見つからず、診断がつかないまま原因不明の身体症状に悩まされることが多く、複数の病院を転々とすることになります。症状が重くなると、病院に通うこと自体が難しくなり、日常生活全般がさらに困難になっていきます。その結果、感覚の過敏と鈍麻の間を行き来し、解離を通じて何とか対応しようとすることが増えていくのです。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

論考 井上陽平

関連記事