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発達障害チェックリスト:自閉症やADHDの症状と社会適応の課題


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 第1節.

発達障害とは


発達障害は、多様な種類と症状を持つ障害であり、脳機能の発達におけるアンバランスと、その人が過ごす環境や周囲の人々との関わりにおけるミスマッチが原因で、社会生活に困難をもたらすものです。日本では、発達障害は世界保健機関(WHO)の基準に基づいており、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれ、その症状は通常、幼少期から現れると定義されています。

 

発達障害を持つ人々は、環境への適応が難しく、ストレスに対して過敏で、体調を崩しやすい傾向がありますが、これは決して心が弱いわけではなく、脳の構造が一般的な人と異なるために生じるものです。彼らは苦手なことが多い一方で、得意な分野も持っており、その特性を「障害」ではなく「個性」として捉え直そうという考え方が広まりつつあります。しかしながら、発達障害の中には、個性として片付けるにはあまりにも深刻な苦しみを抱えている人も多く存在します。このため、発達障害への理解と支援が必要不可欠です。

 第2節.

自閉スペクトラム症(ASD)

中核症状


(1)社会的コミュニケーションや社会的相互作用における持続的な欠陥。

(2)限定された、反復的行動、興味、または活動の様式。

自閉スペクトラム症(ASD)の児童は、特定の興味に強く固執し、日常の変化に対して強い抵抗を示すことがあります。彼らは、社会的な状況で他の子どもたちに合わせて反応するのが難しく、日常の習慣が乱れると強い不安を感じることがよくあります。また、知覚が非常に過敏であったり、逆に鈍感であったりすることがあり、柔軟な思考が苦手なことも特徴的です。これらの特徴は、同じ発達障害に分類されるADHDと重なる部分があり、両者が共存することも少なくありません。

 

一般的に、自閉スペクトラム症の児童は、社会性に課題を抱えていることが多く、環境に適応するのが難しいとされています。適応障害を引き起こしやすい傾向があるため、発達障害の診断は、現在の症状を改善することだけでなく、将来的に適応障害を予防する目的も含まれています。最近の研究では、人格障害の基盤に軽度の自閉傾向があるケースも多いと指摘されています。これらの理解は、早期介入と支援の重要性を示しており、発達障害が将来的な社会適応に与える影響を軽減するための適切な対応が求められています。

3つの特徴


(1)社会的コミュニケーション

空想にとらわれており、内的世界に没頭したり、自己中心的思考をしたりします。

 

(2)社会的相互作用

空気を読まないところがあります。

 

(3))こだわり

不安がベースにあり、こだわりが強いので、思惑と違う(パターンが違う)とパニックになりやすい。

 第3節.

注意欠陥・多動性障害

ADHDの特徴


注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、年齢に見合った行動や言動において、不注意、多動、衝動性の症状が複数現れる障害です。「注意力が散漫」「落ち着きがない」「集中力が欠ける」といった行動は誰にでも見られることがありますが、ADHDの子どもたちの場合、それらの症状が社会的活動、学業、日常生活に深刻な支障をきたすほど強く現れるのが特徴です。例えば、忘れ物が多い、時間を守れない、片付けができないといった行動は、他の子どもに比べて目立つことが多く、親や教師にとっても気づきやすい部分です。

 

ADHDの子どもは、特に疲れているときや興味のない課題に直面したときに、集中力がさらに低下し、ミスを連発したり、忘れ物が増えたりします。学校の授業が退屈に感じられると、勉強に集中できなくなり、じっと座っているのが困難になります。また、気に障ることがあると、乱暴な行動を取ることもあり、不快な状況でのストレス耐性が非常に低いのが特徴です。このため、ADHDの子どもは孤立しがちになることもあります。周囲の理解とサポートが欠かせず、集中できる環境づくりが重要です。

 

さらに、ADHDは発達の初期に受けたトラウマや虐待、不適切な養育の影響によって、過敏さや注意・集中力の低下、ストレス耐性の低さとして表れることもあります。ADHDと愛着障害は非常に似通った症状を示し、相互に関連していることもあります。これは、ADHDなどの発達障害があると、安定した愛着形成が難しくなり、虐待のリスクが高まる可能性があるからです。そのため、ADHDの理解と同時に、子どもの愛着関係に対する配慮も重要です。

ADHDに類似した症状


ADHDの子どもたちは、表現の仕方や対人関係において素直で純粋な一面を持っています。しかし、ADHDと診断されている多くの人々の中には、トラウマが原因となっているケースが少なくありません。発達性トラウマとは、子ども時代に経験するさまざまな逆境や困難な体験を指し、これがADHDの多動、不注意、衝動性といった問題に深く関わっていることがあります。これらの問題の中核には、トラウマによる過覚醒や恐怖からくる不動化、虚脱といった症状があり、体内に渦巻くエネルギーの影響で、じっとしていられない、注意が散漫になる、集中力が続かないといった問題を引き起こすことがあります。

 

また、愛着障害を抱える子どもたちは、対人関係が複雑であり、人を信頼できずに他者をコントロールしようとする傾向があります。このような子どもたちには解離症状が見られることもあります。母子関係の愛着形成に問題がなくても、実父や継父からの虐待、ドメスティックバイオレンス、いじめ、自然災害、事故、犯罪、手術ミスなどの経験によって、子どもがPTSDや複雑性PTSDを発症することがあります。これにより、過覚醒、凍りつき、悪夢、注意力散漫、落ち着きのなさ、トラウマの再体験、回避行動、身体的な症状、パニック、衝動的な攻撃行動などが引き起こされることがあるのです。

 

このような子どもたちに対しては、単にADHDや愛着障害として捉えるのではなく、その背後にあるトラウマや複雑な心理的背景を理解し、適切なサポートや治療を提供することが重要です。

 第4節.

学習障害(LD)


学習障害(LD)は、知的発達には問題がないにもかかわらず、読む、書く、話す、計算するといった特定の能力に困難を抱える状態を指します。このため、学業成績や日常生活での困難が生じやすくなります。これにより、叱られたり注意されたりすることが増え、その結果、自信を失ったり、やる気をなくしてしまうことも少なくありません。原因としては、中枢神経系に何らかの機能障害が関与していると考えられますが、視覚や聴覚の障害、知的障害、情緒障害、さらには環境的な要因が直接の原因となるわけではありません。LDを理解し、適切に支援することで、本人のポテンシャルを最大限に引き出すことが重要です。

 第5節.

発達障害チェックシート


発達障害は、社会性(コミュニケーション)およびその基盤となる能力(象徴化能力)の発達上の障害です。発達障害とパーソナリティ障害の相違は、発達障害は、主に器質的要因もしくはそれに起因する認知的要因の問題です。パーソナリティ障害は、主に情緒的要因の問題であり、環境面の影響で発達上の問題です。

 

 ここでは、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群、広汎性発達障害)、注意欠陥多動性障害などの発達障害の特徴を挙げています。発達障害の傾向がある人は、あてはまる項目が多くなります。

◆乳幼児期

発育・発達の遅れ
社会性(人見知り、視線合わせ困難)
表情の乏しさ、対人興味の欠如
感覚の過敏・鈍感
特定のこだわりや癖
同じ行動・質問の繰り返し
育児困難性

◆児童期(小学校時代)

学校生活の困難性(楽しくない、いじめや孤立)
学習の困難(計算、漢字等)
社会的・行動的問題(指示理解困難、忘れ物、ケアレスミス)
対人関係の問題(一人でいることの好み、冗談理解困難)
感情の問題(パニック、自傷行動)

◆学生時代以降

学校生活適応困難
作業能力(作業速度、ミス)
社会的・対人的問題(自己中心性、他人の気持ち理解困難)
コミュニケーションの問題(言葉遣い、冗談理解困難)
感情の問題(被害妄想、気分の波、自己嫌悪)
家族間の似た傾向

これらの項目は大まかな分類ですので、詳細な診断には専門的な評価が必要です。

 第6節.

発達障害の支援方法


発達障害を持つ人々は、その特性が誤解されやすく、批判を受けがちです。その結果、自信ややる気を失い、生きづらさを感じることが少なくありません。しかし、発達障害の特性を本人や家族、周囲の人々が正しく理解し、その特性に合った工夫を生活や学校、職場に取り入れることで、彼らが持つ本来の力を十分に発揮できるようになります。

 

まず、自分の特性を理解するために心理検査を受けることが大切です。自己理解を深めることで、自己調整スキルを磨き、社会適応を大きく改善することが可能です。しかし、発達障害があると友達を作るのが難しくなり、孤立しやすく、ひきこもりになるリスクも高まります。現代社会では、仲間同士の助け合いが重要ですから、仲間作りのスキルを身につけることが、社会で生き抜くためには欠かせません。

 

そのためには、カウンセリングルームでのセラピストとの対話を通じて、自分の「こころ」「イメージ」「身体感覚」「感情」「動き」を見つめ、自分自身を深く理解していくことが有効です。当相談室では、身体に焦点を当てた瞑想を通じて、子どもたちが自分の体と心に向き合い、成長する手助けをしています。自分の身体を知り、心と身体を上手に使えるようになると、さまざまな問題が改善されていくでしょう。

 

治療には1年以上の時間がかかることが多く、子どもだけのモチベーションでは不十分な場合もあります。そのため、親の協力が不可欠です。治療の目標は、「治す」ことではなく、自分の神経発達の特性を理解し、最高の状態で生活できるようにすることです。長期的な視野で、日常生活を豊かにしていくためのサポートを続けていくことが大切です。

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