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親にネグレクトされた子どもの特徴


1. 愛情を求める葛藤

ネグレクトされた子どもは、親の愛情を求めて必死に親に近づきます。親の期待に応えようと努力し、褒められるために先回りして行動しますが、期待に応じた愛情はなかなか得られません。親が機嫌の良いときに一瞬だけ愛情を感じても、すぐに冷たくされてしまうことが多く、子どもは再び孤独感に苛まれます。こうして、子どもは自分の居場所がないと感じ、寂しさを埋めるために自分の好きなものや趣味に没頭するようになります。

2. 孤立と存在否定、自己表現の過剰

親に捨てられたと感じる子どもは、自分の存在が否定されたように感じ、「消えてしまいたい」という思いを抱くことがあります。これにより、隅っこで縮まり、個性を消してしまうか、あるいは親の関心を引こうと必死に振る舞い、過剰に自己表現を行うことがあります。このような行動は、周囲の注目を集めるための手段であり、自分の存在価値を確認しようとする試みです。

 

また、親からネグレクトされた子どもは、家庭の問題や学校生活に疲れ、自分が他の子どもたちとは何かが違うと感じながら成長します。周囲の子どもたちが幸せそうに見える一方で、自分にはその感覚がなく、元気もありません。こうした孤独感から、学校の友達と分かり合えないことが増え、学校外で特別な友達や理解者を求めるようになります。

3. 寂しさの代償行動とイマジネーション

幼少期から寂しさを感じて育った子どもは、その不足感を別のもので埋めようとします。元気がないという状態は、その子の性格や人生全般に大きな影響を与えます。学校の勉強や運動にも集中できず、将来の夢に対しても「自分には無理だ」と思い込むようになります。

 

一人で遊ぶとき、子どもは寂しさを紛らわすために、人形や物に魂を吹き込んで扱うことがあります。想像力豊かな子どもは、夢の中に登場するキャラクターを大切にし、それらと再び会ったり話したりすることを楽しみます。外出時には金平糖や飴、ぬいぐるみなど、自分が気に入ったものを持ち歩き、それをお守りや「元気の薬」として扱います。これは、周囲の人々とうまく馴染めないため、自分を元気づけるための手段として機能しています。

4. 孤独と解離のリスク

親に捨てられた子どもは、小さい頃から体調を崩しやすく、保健室で過ごす時間が長くなりがちです。友達と遊ぶよりも一人でいることを好むようになり、現実の世界が苦痛になると、解離傾向が高まります。このような状態が進行すると、話していた人物がもう一つの人格のように感じられたり、一日中妄想に耽ったりすることがあります。現実の世界から自分の内面に引きこもっていくと、現実と空想のギャップに耐えられなくなり、現実生活の辛さがさらに増していきます。

ネグレクトを受けてきた子ども/大人の症状


1. 不安感と落ち着きのなさ

ネグレクトされた子どもは、常に言いようのない不安感を抱えています。この不安感は身体にも現れ、落ち着きがなく、生きる力が弱まっていきます。ネグレクト状態にある子どもは、生理的にも愛情的にも飢餓状態に陥り、養育者に必死にしがみついて注目を引こうとします。しかし、幼少期から母親との関係で折り合いがつかず、衝突を繰り返すことが多くなります。自分の思いが理解されないと感じたとき、癇癪を起こし、公共の場でも泣き叫んで暴れることがあります。

 

親からネグレクトを受けると、子どもはストレスや緊張を抱え込み、それが爪を噛む、髪を抜くなどの自傷行為に繋がることがあります。こうした行動は、ストレスに対する脆弱性と過敏さから生じます。孤独感に苛まれると、愛されたいと強く願い、愛情不足を埋めるために依存的な行動を取ったり、人からの承認を得ようと努力するようになります。

2. 思春期の愛情渇望とその影響

思春期に入ると、愛されたい気持ちがますます強くなりますが、愛されなかった場合、その渇望を埋めようとして過食に走ることがあります。また、愛情不足が長期間続くと、それに執着し、愛情を得るために過度に自己改善を追求することもあります。これが、完璧主義や強迫的な行動の原因となり、他者に愛されるための努力がますます過剰になります。一方で、親からの愛情を諦め、自立を決意して強く生きようとする子どももいます。しかし、これもまた、愛情を得られなかったことへの深い恨みや、擦れた態度を形成する一因となることがあります。

3. 大人になった後の孤独と自己探求

ネグレクトされた子どもが大人になると、幸せとは何か、なぜ生きているのかという根源的な問いに悩まされることがあります。誰からも必要とされていないと感じることで、愛されている感覚や守られている感覚が欠如したまま育ちます。大人になってからも、その寂しさと戦い続け、自分自身と向き合う過程で虚しさが増していきます。愛された経験がないため、他者を愛する方法がわからず、どう対応していいのか途方に暮れることが多いです。人との関係が深まるほど、愛されたいという欲求が強まり、自分勝手な行動を取ってしまうことがあり、それが相手を傷つけたり、関係が崩れる原因となります。

4. 愛情不足からの自己成長と前向きな人生

愛情不足で育っても、何かに得意なことや集中できることがあれば、その経験を通じて豊かな想像力や独自の能力を発揮することがあります。寂しさや辛い経験が、光を見出そうとする力に変わり、ポジティブな方向に作用することもあります。また、親に愛情を求め続けるのではなく、早い段階でその状況を受け入れ、自己を見つめ直して前向きに生きる人もいます。こうした人々は、過去の経験を糧にして、強さを持って未来に進む力を身につけることができます。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2019-12-28

論考 井上陽平

 

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