1. 発達早期のトラウマが引き起こす過覚醒と問題行動
発達早期にトラウマを受けた子どもは、自己認識力や自制心が未発達なため、些細な刺激にも過敏に反応します。肩や首、顎に力が入り、身体が勝手に動いてしまうことがあります。心を落ち着かせる大人がいない場合、行動や感情のコントロールがさらに困難になり、苛立ちやパニック、癇癪を起こしやすくなります。これにより、大人から押さえつけられるか、放置されることが多く、外傷体験が重なっていきます。トラウマを負った子どもは、交感神経が過剰に活発化し、軽いストレス刺激にも反射的に危険を感じ、警戒心が過剰になります。これが、ストレスホルモンの慢性的な増加を引き起こし、臨戦態勢(闘争・逃走)のスイッチが入りやすい状態を作り出します。特に、物事に集中しているときに些細な問題に直面すると、強烈に苛立ち、興奮し、過覚醒状態に陥り、自分の意思でその活動を止めることが難しくなります。
2. トラウマが引き起こす行動障害と中学生以降の影響
トラウマを抱える子どもは、自分の行動が思い通りにいかず、自己中心的な行動を取りがちです。学校では、投げやりな態度や攻撃的な問題行動を繰り返し、教師や仲間とのトラブルが絶えません。スポーツやゲーム、競争、セックスなどで高揚すると、通常の覚醒水準を超えた興奮(過覚醒)状態に陥り、支配的な行動や破壊的な活動に走ることがあります。こうした行動の背景には、トラウマによる深刻な自己調整能力の障害があり、自分を責めたり、落ち込んだり、イライラすることが多くなります。
中学生以降、トラウマを抱える子どもたちは、理性の発達と自意識の高まりに伴い、過覚醒による問題行動を抑制しようとします。しかし、言葉で表現することを学ぶ代わりに、感情を抑え込んで感覚を麻痺させることを覚えるようになります。彼らは周囲に良い子でいることで、自分に向けられる悪意を回避し、傷つくことを避けようとします。しかし、その結果、無表情や無感覚、不機嫌で投げやりな態度、大人のふり、目立たないようにひっそりと過ごすなど、さまざまな防衛的な態度に分かれていきます。場合によっては、引きこもりになることもあります。このように、トラウマの影響は、子どもの成長とともに複雑化し、問題行動や感情の抑制が生活全般に影響を及ぼすことになります。