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回避性パーソナリティ障害の恋愛できない原因|愛し方が分からない理由


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 第1節.

回避性パーソナリティ障害とは


1. 回避性パーソナリティ障害とその背景

 

回避性パーソナリティ障害を持つ人々は、しばしば子どもの頃に受けた外傷的な体験に苦しんでいます。彼らは、心の奥底に大きなトラウマを抱え、もう二度と傷つきたくないという強い思いで、純粋で透明な部分を守ろうとしています。この障害の原因ははっきりとは解明されていませんが、虐待やいじめ、初恋のトラウマ、性体験のトラウマなど、幼少期や発達早期に受けた傷が影響していると考えられています。さらに、体が弱かったり、神経発達に問題があったりするため、身体的な反応が恐怖心と結びつき、回避傾向が強まります。

 

2. 日常生活での回避とその影響

 

回避性パーソナリティ障害の人々は、日常生活において常に精神的負担を減らすことに集中しています。心に余裕がなく、できるだけストレスの少ない空間で過ごすことを望んでいます。彼らは慣れ親しんだ環境であれば安心できますが、新しい状況や変化が訪れると、その変化に対応できず、心が揺さぶられ、自分が崩れてしまうのではないかという不安を抱きます。普通の人ならば柔軟に対応できる状況でも、トラウマの影響を受けた人にとっては、その変化や衝撃が非常に大きなストレスとなります。

 

3. 人間関係の難しさ

 

彼らは、新しい人との関係を持つことに対して、強い不安や警戒心を抱いています。相手の悪いところを探しがちで、相手が近づいてくると足がすくんだり、体が凍りついたりしてしまいます。このため、人との深い関係を築くことが非常に難しくなります。特に、恋愛においては、恋愛したい気持ちはありつつも、恋愛に進むことが怖くて、まだ起きてもいないことを心配してしまい、尻込みしてしまうことが多いです。また、自分のことで精一杯なため、人に対して壁を感じ、相手に愛情を向けることが難しいと感じることもあります。

 

4. 未解決のトラウマとその影響

 

回避性パーソナリティ障害を持つ人々は、未解決のトラウマを抱えており、その影響で安心感を得ることが難しく、原始的な防衛反応が常に作動しています。その結果、相手に身を委ねることができず、人間関係においても相手を暖かく迎え入れることが難しくなります。恋愛においても、強い感情を向けられることや、自分の感情が高まる場面が恐怖に感じられるため、回避行動を取ることが多くなります。回避することで一時的には安心感を得られますが、その結果、新しい恋愛や人間関係を築くことがますます難しくなり、悪循環に陥ってしまいます。

 

5. 回避性パーソナリティ障害と関連する障害

 

回避性パーソナリティ障害は、境界性パーソナリティ障害の回避タイプ、回避性愛着障害、自己愛過敏型、シゾイドパーソナリティ障害、発達障害の孤独型や受動型といった他の障害と重なる部分があります。これらの障害は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、回避傾向が強く、人間関係を築くことが困難であるという共通点を持っています。回避性障害を持つ人々の心のイメージは、しばしば白や透明、青色、桃色といった色で表現されることが多いです。

 第2節.

愛がトラウマ化し回避せざる得ない


1. 愛とトラウマの交錯: 回避性パーソナリティ障害者の葛藤

 

回避性パーソナリティ障害を抱える人々にとって、愛はしばしば苦痛と恐怖の源になります。誰かを愛したい、愛されたいと願い始めたとき、特に異性に対して無防備になり、相手から求められると、過去に埋もれていたトラウマの断片が意識に浮かび上がります。この瞬間、彼らは感情に圧倒され、取り返しのつかない恐怖や不合理な衝動に襲われ、身動きがとれなくなります。結果として、関係を続けることが次第に苦痛になり、回避したくなるのです。

 

例えば、幼少期に親から虐待を受けていた場合、子供は親を愛したいという自然な欲求と、自分の愛情を無価値なものだと感じさせられる経験との間で、過剰な葛藤を抱えます。親に対する怒りや憎しみ、そして愛との間で心が引き裂かれ、自分の感情や欲求を抑え込むしかなくなります。このような経験を繰り返すうちに、彼らは自分の感覚が麻痺し、離人化という状態に陥ることがあります。

 

2. 愛の不安と逃避

 

大人になった今でも、回避性パーソナリティ障害を持つ人々は、愛された経験が乏しいため、愛し方や甘え方がわからず、他者に対して深い感情移入ができません。外の世界で愛する人を求めると、その行為が幼少期の親への未解決な感情と結びつき、耐え難い心の痛みが再び蘇ります。求める気持ちが叶わなかったことへの傷が再び浮かび上がり、愛そうとするたびに過去の出来事がフラッシュバックし、自分の本音と向き合わざるを得なくなります。その結果、彼らは自分の気持ちを無意識に騙そうとし、感情を押し込めてしまうのです。

 

3. 愛とトラウマの再現

 

回避性パーソナリティ障害者にとって、愛はしばしばトラウマの再現となります。誰かを求めることや愛されることが、幼少期の外傷体験とリンクし、不安や恐怖、寂しさ、希望、絶望、羨望などの複雑な感情が一気に爆発します。これらの感情に戸惑い、甘えたい気持ちや寂しさの持って行き場がなくなると、身体は麻痺し、しんどさが増していきます。このような状態では、現実の相手と深く繋がることが非常に難しくなります。そして、愛されなかった自分自身を嫌い、全く自信が持てなくなり、周囲の人々を羨ましく思うたびに辛さが増していきます。

 

4. 深い関係の恐怖と依存の葛藤

 

大事な人との関係が深まるにつれて、彼らは「相手に何かしてあげなければならない」と感じますが、過去の経験から、自分は何もしてもらえなかったため、どう返していいかわからず、恐怖を感じます。また、深く関わることで依存心が芽生える一方で、依存すること自体が怖くなり、情緒が不安定になり、心がかき乱されてしまいます。こうした感情に耐えられなくなり、大事な人との距離が近づくほど、その反動で恐怖が増し、自分が否定されることを恐れるようになります。その結果、関係を続けるために相手に合わせるしかなくなり、自分自身がきつくなってしまうのです。こうして、真っ当な恋愛をすることがますます難しくなります。

 

5. 愛の葛藤とその克服

 

回避性パーソナリティ障害を抱える人々にとって、愛とは恐怖と希望が入り混じる複雑な感情です。幼少期のトラウマが再現されることで、彼らは愛すること自体に困難を感じ、結果として人間関係を避けがちになります。しかし、真の意味で愛し合うことができるようになるためには、自己の感情と向き合い、トラウマを乗り越えるための時間とサポートが必要です。長いプロセスではありますが、これを通じて初めて、彼らは健全な人間関係を築くことができるようになります。

 第3節.

大人の自分と内なる子どもの分裂


1. 内なる分裂と回避性パーソナリティ障害者の葛藤

 

回避性パーソナリティ障害を抱える人々の心の中には、しばしば大人の自分と過去の無意識の内なる子どもとの間に深い内的な分裂が存在します。大人の自分は、子どもの頃に感じた孤独や寂しさ、羨ましさ、そして生きる意味のなさを意識の表層に上がらないように努めています。それらを忘れたり、切り離したり、封印したりして、見て見ぬふりをすることで、痛みから逃れようとします。

 

2. 自己同一化と無力化された依存性

 

大人の自分は、悲しみや罪悪感といった自己像と同一化してしまい、他者と深く繋がることに対する恐怖を抱えています。彼らは良い対象を選び、求めようとする依存的な部分を無力化し、あたかもその欲求が存在しないかのように振る舞います。しかし、その裏で、内なる子どもの部分は、自分が取り残された感覚に苛まれています。夢の中で、あるいは心の中の擦りガラスの向こうで、その子どもはひとりぼっちで膝を抱え、寂しそうに座っていたり、時には「なんであなただけが…」と大人の自分に対して怒りを抱いているかもしれません。

 

3. 防衛としての解離と空想

 

回避性パーソナリティ障害者は、子どもの頃から自分の傷を癒そうと無意識に努力してきました。しかし、その努力は現実からの逃避として表れ、解離や空想、妄想の世界に浸ることで、自分自身にトリックをかけています。これらの心理的防衛によって、彼らは一人で考え込むことが多く、現実の痛みや苦しみから逃れようとします。

 

4. 居場所を求める葛藤

 

彼らは心のどこかで、現実の中に自分の居場所を見つけたいと願っています。しかし、自分を理解してくれそうな相手が現れても、その相手が自分とは正反対の人間だと感じると、再び壁を作り、距離を置こうとします。たとえ相手が優しく暖かい存在であったとしても、その慣れない暖かさに対して恐怖を感じてしまうのです。彼らは再び失われる不安や、置いて行かれる不安、裏切られる不安に怯え、その結果として回避傾向が一層強くなってしまいます。

 

5. 過去の傷と現在の葛藤の繰り返し

 

このような内なる分裂と葛藤は、過去の傷と現在の人間関係における苦しみが絡み合っていることから生じています。大人の自分は、内なる子どもの痛みを無視し、抑え込むことで何とか日々を過ごしていますが、その抑圧された感情は、いつか表に出てきます。それは、誰かを愛したときや、愛されたいと願ったとき、無防備になったときに、過去に埋もれていたトラウマが再び浮上し、関係を続けることが苦痛になり、回避へと導かれるのです。

 第4節.

回避性のトラウマの内なる世界


1. 内的世界の葛藤と回避性パーソナリティ障害

 

ユング派の心理学者カルシェッドや対象関係論に基づくと、発達早期にトラウマを受けた人々の内的世界には、理性的な保護者と批判的な迫害者が存在すると考えられます。これらの内的な人物像は、子どもの頃に受けた再トラウマ化を回避するために組織化されたものであり、心の中に深く根付いています。これらの人物像は、外部の世界とのあらゆる接触が危険であると判断し、現実との接触を妨げるために、ある種の「魔法」をかけています。彼らの内的世界は、外界から自分を守るための巨大な繭で包まれており、その中で安心感を得ている一方で、外の世界との結びつきを失ってしまいます。この防衛的なファンタジーに耽溺することで、他者に依存できず、回避する傾向が強まっていくのです。その内的世界は、まるで塔に幽閉されたラプンツェルを守る魔女のような悪魔的な人物像に支配されているかのようです。

 

2. 恋愛における回避性パーソナリティ障害の影響

 

回避性パーソナリティ障害者にとって、新しい出会いがあり、ロマンティックな夜を過ごした後でさえも、その関係を深めることは難しい課題です。彼らが誰かに好意を抱くと、その人に会えない時間が孤独と寂しさで満たされ、涙が溢れてきます。しかし、好意を向けられると、逆に自分の感情が高まりすぎて麻痺し、恐怖を感じます。恋人に抱きしめられたとき、自分がどう振る舞えば良いのか分からなくなり、無防備でいることへの恐怖が増してしまうのです。

 

恋愛関係において距離が近づけば近づくほど、自分が傷ついてしまうのではないかという不安が強まり、相手が自分の内面に入り込んでくることに対する抵抗感が生まれます。結果として、深い関係を築くことが恐怖となり、感情が揺さぶられ、胸が苦しくなり、涙が溢れ、さらには過呼吸やパニック、吐き気、体調不良などを引き起こすことがあります。これらの恐怖や不快感が強くなるため、彼らは一人でいるときには小さな幸せを感じることができても、恋人と一緒にいると大きな幸せを得ることができないのです。

 

3. 否定的なアニムスと回避傾向の女性

 

特に回避傾向の強い女性の場合、否定的なアニムス(女性の無意識に存在する男性像)が内的に取り憑いていることが多く、その影響が強く現れることがあります。否定的なアニムスは、女性が男性との繋がりを持とうとするときに活発に働き始め、頭の中で否定的な声として響き、相手のネガティブな側面ばかりに目を向けさせることで、相手を受け入れにくくします。さらには、バラバラになるような悪夢を見せたり、身体を動けなくさせたり、日中から眠りに誘ったりして、希望を打ち砕いてしまいます。

 

4. 悪夢と恐怖の中で

 

このような状況下で、回避性パーソナリティ障害者は悪夢に怯え、身体が麻痺し、恐怖や不安が入り混じるなかで落ち着きを失います。彼らは、自分が自分でなくなってしまいそうな恐怖に襲われ、なんとか自分を守ろうとして、好意を寄せてくれる相手に対して嫌悪感を抱き、関係を切り離してしまうことが多いのです。こうしたパターンが繰り返されることで、彼らはますます孤立し、真のつながりや愛情を築くことが困難になります。

 

5. 内的世界の魔女と現実の隔たり

 

このように、回避性パーソナリティ障害者の内的世界には、まるで魔女がラプンツェルを幽閉するように、自分自身を現実から隔て、他者との深い関わりを阻む力が存在しています。その結果、彼らは現実の世界でのつながりを避け、内的な葛藤と不安に苦しむことになります。回避性パーソナリティ障害者がこの悪循環を断ち切り、真の幸福とつながりを見出すためには、内的な分裂を解消し、過去のトラウマと向き合うことが不可欠です。そのプロセスを通じて、彼らは初めて現実の世界で他者と共に生きることができるようになるでしょう。

 

トラウマケア専門こころのえ相談室

更新:2020-06-12

論考 井上陽平

 

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回避性人格障害治療

回避性パーソナリティ障害の治療は、好きな人と愛し合えて幸せになれることが目標になります。心や精神、身体を内部から緻密に分析していき、距離が近づいたときに、回避行動をしてしまう仕組みを考えます。

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回避性人格障害

回避性パーソナリティ障害者は、不快な場面で感情のコントロールができなくなり、フラッシュバックや感情の爆発、パニックが起こることを恐れており、その場を紛らわすか、そのような場面を回避します。

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スキゾイド女性

スキゾイドちゃんは、スキゾイドの特徴を持つ女性のことです。スキゾイドの人は、社会的関係への関心の薄さ、感情の平板化、孤独を選ぶ傾向を特徴があり、回避性パーソナリティ障害と似ています。


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トラウマ世界の魔女

トラウマの内なる世界に潜む存在は、魔女的であり、他者は自分を傷つけてくる敵としてみなして、自分の身を守る事だけを考えています。人間を呪って、特別な力で敵に負の影響を及ぼすことができます。

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解離性障害の恋人

解離性障害の方は、体の凍りつきの迷走神経反射により、あらゆる症状が出て、体調不良になるのが特徴です。人間が苦手で、自分のことで精一杯になり、人間関係を回避して、感情を切り離します。

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大事な人を傷つける

トラウマがある方は、脅威を遠ざけようとする防衛が働くため、大事な人の嫌な部分を見つけることが得意で、最初は我慢しますがでいずれ感情が爆発してしまい、取り返しのつかない事態になることがあります。